今回のパリ滞在一番の目的、パン屋さんでのスタージュ(研修)が始まりました。
6/5にパリに到着して、7日からとうとうパン屋さんでの研修がスタートしました。日本での現場経験がない私にとっては、プロの職場がどういうものなのかということを知るいいチャンスでした。
仕事のことを書く前に、まずフランスのパン屋さんがどういう形態になっているのかを、ちょこっと(たっぷりかも・・・)お話したいと思います。一般的にほとんどのパン屋さんは、『Boulangerie=パン屋』と『Patisserie=ケーキ屋』を兼ねているところがほとんど(ポワラーヌは老舗でパンしか置いていませんが)。そして、パンの中でも日本でいわゆるハード系(食事用)のパンは”パン”、クロワッサンやブリオッシュなどの菓子パンは”ヴィエノワズリー”と呼ばれています。フランスではこの2つは区別されていて、それぞれ専門の職人さんが作ります。
前編では、研修先で作っているパンをご紹介。
①パンの仲間
トラディション。パン屋さんで一番たくさん作るのは、もちろんバゲット。粉、水、塩、イーストのみでつくる、どんな食事にもあうパン。そのバゲットにこだわりを持たせたのがトラディション(=伝統という意味)で、ルヴァン(=天然酵母)を使ったり、長時間発酵だったり。手間ひまかけて丁寧に作るので香りも味も格別♪その分ちょっとお高めです。バゲット 約0.8ユーロ⇔トラディション 1ユーロちょっと。
トルティヨン。バゲットの生地をくるっとねじると、ところどころ目が詰まってもちもちした食感に。
パン・ド・セーグル=ライ麦パン。巨大で、オーブンから出てきたときにはクッション?と思ったけど、もってみたらものすごく重かった(笑) 目が詰まってるということですね。お店ではg売りでした。大型パンは店員さんに言えばスライスしてくれます。
パン・オ・セレアル=シリアルパン。ごま、亜麻、けしの実などを混ぜ込んで、さらにトッピングして焼きます。酸味があってチーズにも合うと思います。サンドイッチにも使う。焦げやすいので窯の中を常にチェックです・・・自分に言い聞かせてます(^_^;)
フィッセル(バゲットの1/2量の生地で作るパン)とフーガスといった軽めのパンも。
②ヴィエノワズリーの仲間
クロワッサンには2種類あって、写真のように横にまっすぐなのが”クロワッサン・オ・ブール(バター使用)”、三日月形に先を曲げたものが”クロワッサン・オルディネール(マーガリン使用)”です。日本の袋パンはほとんどクロワッサン・オルディネールにあたると思います。断然バターのほうがおいしい!
クロワッサンが余ってしまったら・・・クロワッサン・オ・ザマンドに。クロワッサンにアーモンドクリームを絞ってアーモンドスライスをふって焼きます。めちゃ甘いけどめちゃ好き。
パン・オ・ショコラ。クロワッサン生地でチョコレートのバーを2本巻き込んで焼くおやつパン。このチョコがおいしいのはさすがフランスだなあと、作業中に折れたチョコバーをかじったりして。
パン・オ・レザンもクロワッサン生地を使います。クレーム・パティシエール(=カスタードクリーム)とレーズンを巻寿司のように巻いてカットします。大量に作っている様子は圧巻。
ショーソン・オ・ポムは、室内履きの形に似てるからということで命名されたそう。中にりんごのピューレを挟んで焼くアップルパイに似たヴィエノワズリー。りんごの甘さやシナモンが入っているかどうかなど、お店によってちょっとずつこだわり!?
ブリオッシュ。たまごとバターがたっぷりのリッチなパン。意外と甘くないのでジャムをつけて食べたりしますが、カロリーはすごいことになっているかも・・・右はぴょこっと頭が出ているので、その名もブリオッシュ・ア・テット(頭)。元は僧侶の姿を表したそうですが、このパン、高さ20cmくらいの巨大バージョンもいるんですよね。マッチョな僧侶だわ。。。
左はブリオッシュ・フュイテ。ブリオッシュの生地でさらにバターを折り込むので、クロワッサンよりもしっとりしています。それにしても、フランス語をカタカナで表現するのって難しい。フュイテ、フォイユテ??
ちなみにクグロフもブリオッシュの仲間です。
ヴィエノワはブリオッシュよりちょっと甘さ控えめな菓子パン。さっくり感がちょっとヤマザキのスナックパンに似てる・・・サイズはファボール・サンドくらい(伝わりますか? 笑)
つるんとした顔のパン・オ・レ=牛乳パン。怪獣の背中みたいに切込みが入ったものも。
パン・ド・ミー=食パンも一応ありますが、ちょっと小ぶりで日本のようなしっとり&もっちりしたものではありません。薄めにスライスしてカナッペ風に食べたりするそう。食文化の違いですね~。カリッとトーストされた食パンにバターとおさとうをふったものは、子供のときの極上のおやつでしたー。
あと、フランスのパン屋さんの特徴って、どこに行っても上でご紹介したようなパンばかりが置いてあるんですね。日本って、競って新商品を開発したりすると思うんですが、それがまったくといっていいほどないんです。昔からあるものをあるがままに受け入れて伝えていく。パリの街が古いまま残っているように。でも、日本人のアイデアのひらめき方って、ときに感動するくらいうれしいものとかがあって。フランスのパンと日本のパン、どちらも好きだなあと。その土地それぞれの食文化があって、おもしろい。いいとこどりで楽しいパン生活を送りたいものです。パリに行って改めて感じたことでした。
では、ちょっとマニアックなパン記事でしたが、次回は実際の研修の模様を大放出?です!